年老いたのかなと思うことが増えた。
歳を取れば取るだけ透き通っていく場所は
どこなのかなとも思う。
10代半ばの棘のような鋭さも、
10代後半の茨のような鋭さも、
20代半ばを前にして随分変わってしまった。
若さはいつも見苦しい。
それよりもっと見苦しいことは沢山ある。
許しを願ってひとり縮こまっている惨めさ
なんか、どう言ったってしょうがない。
しょうがないな、と思える時、
歳をとったなと思う。
〜間〜
こうであれ、と自分に課していた姿が
大分曖昧になってしまった。
正しくあれ、信念を持て。
魂の美しさを手放すな。
祈り続けろ。
他者をさいなめ、己を追い詰める。
どう刺し違えても私の祈りは決して
止むことはない。こうでしか生きられない。
お前が悪いか、私が悪いかの2択の中で
ただ許してほしいと祈り続けていく。
私が悪い、だから許してほしい。
本当はもっとずっと許せないことがあるのに。
深夜にどうしようもない気持ち(許されたいし許したくないし、憎みたいのに憎めない時)に
走り回った海岸があるんだけど、
そこを今同じように走ったらきっと足がもつれて
転んでしまうだろうな〜。
〜間〜
絶えず形を変えて残り続けるこの怒りにもよく似た祈りを、痛々しい幸福を、歯ぎしりの間の休息を、これから先どこまで続けられるんだろう。
これから後何年生きて、
何回刺し違えて、
何十回何百回と失って、
本当に大切なものだけ、必要なものだけが
残る時を迎えるんだろう。
何かの傍にいられるんだろうか。
自分は自分を手放さず、許さずとも
殺さずにいられるんだろうか。
透明人間になりたくないな。
ただまあ、考えててもしょうがないな〜
そう思えるようになったのは、棘が抜け落ちて
何か柔らかい丸い穴でも空いたからだと今は
思っている。