あたま日記

小学生の落書き帳みたいな気持ちです。

リアルな人にはみえない床

タイトル、裸の王様のオマージュです。

ギリギリで私と現実を繋ぐ床のタイル、
数が増えた。座り込んで数えていた。

それが見間違いだとしても、
その時確かに私にとって現実を生きる為の
大事な大事な嘘のタイルだった。




〜〜〜〜間〜〜〜〜〜〜




家にいることがめっきり増えた。
バイトも大学も無くなった。

週一で食料品と飼ってるとんび(うさぎ)の餌を
買いに行く以外で外に出ない。

今日はその週一デーで、日差しが気持ちよかった。
風が吹いていた。
てんとう虫が服に留まった。
少ししたらどこかへ飛んでいった。
優しくて、朗らかで、一瞬の春の話だった。




〜〜〜〜間〜〜〜〜〜




住んでいる場所は程よく田舎だった。

中途半端な田舎で、
3階建てが限度ののっぺりとした町だった。

かといって綺麗な海や川や山はなくて、
ゴミだらけの海と、ドブ川と、
禿げかけてる丘のような山があって、
ウーバーイーツはいなくて、
観光地って無い。

アマプラでも当日に届くことなくて、
ご飯屋さんは全然無くて、
日本橋高島屋でしか売られない商品に
恨めしさと羨ましさを持つしかなくて、
危機感とかなくて、
本屋もなくて、
画材は百均の色鉛筆で、
文化とかなくて、
歌とか言葉とかなくて、
誰も何も持とうともしなくて、
何にもない。


何にもないからぼんやりしている。
涙が出るほどぼんやり過ごしている。

最近はそのぼんやりが加速している。





〜〜〜〜〜間〜〜〜〜〜〜



ぼんやりしてると考える時間が増えた。

リアリティが無いのにリアルで生きてる自分の
ことがかなり憂鬱な対象になることがある。


お花が好きだったり、海をじっと見るのが
好きだったり、本を読むのが好きだったり、
そういうのが全部「おかしいよ」になる町に住んでる
せいでバイアスがかかってることは承知の上だ。


実際おかしなことをしたと思う。


おかしなことに巻き込まれて育って、
おなしなことばっかりしてきた。


むちゃくちゃなことをしてきた。
破滅へと全てをフルスイングで投げたり、
破壊と再生を繰り返してやってきた。


キャラクターが定まってないよと言われた。
全くもってその通りだった。
何にでもなるのに何にでも無かった。
どこにも入れていない。入りたくもない。
入ったが最後、人に影響を与えるのが嫌だ。
影響を受けた人がしていることを見るのも嫌だ。
普通でいてくれ。普通……?


私は人が思うよりずっともっと刹那主義で、
死んだら死ぬまで、と思っている節が今でもある。
(死にたいとは思っていないんですケド……)


実際、町を出て、高校や大学に行って、
知らない人と仲良く過ごすようになってからも、
何もしてなくても普通にずっとおかしかった。
おかしいね、って思われていたと思う。

多分、
エンターテインメントとして、
インターネットとして、
記事として、
話題として、
初めて「ハナチャン」は楽しい存在だ。

実際に触れ合って見つめあった時の私は
ただの「変な奴」にしかならない。

ただおかしい人で、何も楽しくない。


「ちょっとあの子、違うよね」って周りの人達が
告げていた意味が今、
呪いのように回り続けている。
ぐるぐると輪っかを作っている。


ちょっとワタシ、違ったみたいです。


ずっと何かが違ってる。


それはこんな何にもないから仕方がないよね、じゃなかったのかもしれない。


環境が変わろうとも、
私が変わろうとも、
何をどうしようとも、
もうどうにもならないことが
ミルフィーユみたいに存在してる。

重なりあったどうしようもない部分が、
氷になって、ゆっくり溶けきるのを待つのは
大変な苦痛だ。
それを目視する周りの人達はもっと嫌だろうな、
ごめんね、って思う。

さようならだけが上達していった。
右手ばっかり傷ついていった。




〜〜〜〜〜間〜〜〜〜〜



ありとあらゆる感覚が無くなってきて、
ゆっくり床のタイルを数えて、
ギリギリで保つ現実を見ている。


早くフィクションになりたいな。
早くフィクションになって、
誰のことも傷つけずに済みたいな。

だけどフィクションになったら私が私のことを
幸せにしてやることも無くなる。
負けたくね〜!!!!!!!!!
ノンフィクション大勝利で、大笑いして、
私は絶対私を愛し抜いていきたい。


いきたいよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。


タイルを数え直しながら、そう思った。